書評 (2005.5)

「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる
日本電産社長 永守重信著 三笠書房

永守氏は現在の日本が必要としている真の意味での起業家であり、注目すべき経営者である。ニッポン放送の買収劇でも自身の視座から、裁判所の判断を支持し、最終局面でのマネーゲームと化した敵対的買収のイメージダウンを厳しく批判している。
起業家と言う意味で、パッション経営の稲盛和夫氏に相通じるものを感じる。
私は、書評を依頼され、書店で「この人の本なら読んでみよう」ということで、この本を手にした。
単純に言えば、ポジティブ指向の本である。しかし、それを実行してきた人の言葉ゆえ重く受け止めたい。
やくざの親分になりたかったというだけに、「親分・子分」の関係で部下を考え、育てて来た実践記である。
ふと何か躓きを感じた時に、どのページでも開いてみると良い。何かヒントを得るであろう。
「先憂後楽」、「365日フル稼働」、「公器として雇用を守る」ということの実践は、現代日本に欠けてしまったものである。見習うべき、と自省する。