魁 (2004.12)

カザフスタンへ講義に出かけることがあり、その度にエンジニアリング会社のAutomatica(石油・天然ガス関係の自動化エンジニアリングからソフトウェア開発まで行う、従業員800人の中堅企業)を訪問し、経営陣と話し合う。
「どうして日本の企業は来ないのか? ドイツ、アメリカ、フランスなど各国の企業が提携話などでやってくるが、日本からは来ない。」というのが経営陣のいつもの台詞である。

日本企業の海外でのビジネス展開を振り返ると、途上国進出に関して、ほとんどが国策路線に乗ってのもの、国策に絡んでのものであった。
先駆ける精神に日本企業は乏しい。
国策など何らかのきっかけで一社が進出に成功すると雪崩を打ったように後を追うのが日本企業の常である。また、少しおかしいとなると次々と引き上げてしまう。2001年11月にブラジルへ行った時、日本企業の多くは引き上げ体制に入っていた。BRICsと言われている現在、これらの企業は何を見ていたのかと言われても仕方がない。

インフラをソビエト時代に構築し、かつ石油・天然ガスの埋蔵量が多いカザフスタンは投資先国として考えるべき国の一つである。

ユニリーバのようにガーナ経済を完全に牛耳るまでになれとは言わないが、日本企業もビジネスチャンスを求めて先駆ける精神をもって途上国へ進出し、それによって多くのリターンを得て欲しい。

ソフトウェア業界にあっても発展途上の分野があり、そこへ先駆けて進出することで多くのリターンを得る道もある。