組織力 (2004.7)

「ペプシコのCEOだったD・ウェイン・キャラウェイは、組織力が業界ナンバー2の会社は、結局、市場でもナンバー2にしかなれない」 といっています。
組織力について少し考えましょう。

組織重視の商社、人重視の商社
亡くなった父が、ある商社勤務時代綿花買付けなどで中国の天津で仕事をしていた頃、競合商社の現地事務所の即断即決による事業拡大を羨んだことがあったそうです。父の勤務先はあくまで本社決裁を重視し、どうしても商機を逃していたそうです。ところが、競合が敵国軍隊への商売事件に関係し支店閉鎖に追い込まれたそうです。
組織力とは、「暴走を食い止める牽制機能」、ガバナンスという定義からすると、この事実は、正に組織力を持った企業の底力を示した事例と言えるでしょう。

統制型組織と免疫方組織
上記の意味からすると、統制型、悪く捉えれば、即ち「承認を求めることで、自分にふりかかる責任を回避する」組織が「組織力」有りとすることとなります。
これに対し、ベンチャー企業のマインドの肝は「当事者意識」で、成功ベンチャー企業は免疫型(対応を自ら決める)組織ともいえるでしょう。ここには組織力はないのでしょうか?
実体は、少数精鋭の経営陣が目を光らせた中での現場分権体制で、その意味で組織力は有していると捉えるべきでしょう。また、社外役員などが精鋭経営陣の暴走を食い止める機能を果たしているといえるでしょう。

統制型組織の発展の道
K社は統制型組織の典型と言えます。前社長は海外勤務時代に現地日本人駐在員仲間から「ビジネス上無能な人」と烙印を押されており、その後彼が社長になったと言うことで、みな驚いたそうです。
組織力あるK社の社長には誰がなってもうまく機能するようになっているということでしょう。
しかし、統制型企業のトップが無能のままであれば、競合の激しい現在では、縮小没落の道を辿らざるを得ません。
ここで面白いことは、組織の階段を登れば登るほど横断的に見えてくるということです。横串の見方をできるようになる環境を与えられるわけです。プラス、組織を登るたびに「自信」が生まれてきます。「地位が人を作る」ということです。
上になり、横が見えてきて、その範囲でチャレンジするが、牽制機能が働き暴走はしないという形です。
統制型組織、組織力ある組織が伸びる道がここにあるように思います。

牽制機能を備え、その中で自由闊達な組織、更に、組織の階段を登る度に広い見方のできる人材が横串に組織を見て改革を図る組織が発展していくのでしょう。

組織力について、今後も考えて行く事は有意義と思います。