私心なき経営者 (2005.2)

「ウガンダの父と呼ばた日本人」(登山家の今井通子著)の柏田雄一氏は73歳の現在も繊維工場再建のためウガンダで、日々戦っておられる。
1985年から20年間、内戦を含め多くの困難の中で企業を育て上げ、その後国営化され柏田なき経営で閉鎖に追い込まれた工場を2000年に買い取り、再建を始めた。
アミンはじめ歴代の大統領すべてと真にウガンダ経済を支える立場から話し合い、彼らの熱い支援を得ている。特に、現大統領ムセベニとは交換を通さずに電話で語り合う関係である。
彼が人をひきつける根源は、私心のなさにある。
ウガンダ人だけでなく多くの日本人も彼に引き付けられる。
自分の私利私欲を求めず、ウガンダの為になることであれば行動を起こす。
アミン政権が倒れ次期政権に移行する段で、無法地帯化し略奪があらゆるところで起こった。ケニヤからウガンダにセスナで戻り何とか到着して目の当たりにしたのは、見るも無残な略奪にあった彼の繊維工場であった。次に、当然略奪にあったと思いつつ自宅を訪れた時、彼は奇跡以上のものを感じた。
全く無傷の柏田邸がそこにあった。周囲に多くの見知らぬウガンダ人がおり、「この家は守らねばと思った」と語りかけてきた。
この思いがけぬウガンダ人たちの思いを柏田氏は深く心にしまっている。
これが私心を持たぬ原点にもなっている。